東京大学医学部附属病院 予防医学センター

健康コラム

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血圧治療の目標値が変わりました

高血圧は日本で患者数が最も多い病気で、約4300万人の患者さんがいると推計されています。ほとんどの人で自覚症状がないにもかかわらず、動脈硬化を起こし脳血管障害や心疾患のリスクを高めたり、腎機能が低下する原因にもなる、侮れない病気です。高血圧を正しく理解して、予防のためにライフスタイルを改善したり、適切な治療を受けることが重要です。

高血圧の診療方針をまとめた“高血圧治療ガイドライン”が2019年に改訂されましたのでご紹介します。2014年のガイドラインから「診察室血圧と家庭血圧の値に差がある場合には、家庭血圧による診断を優先する」と、家庭血圧が重視される内容となっており、それは今回も同様です。高血圧の基準が診察室血圧で収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上であることも変わりありません。改訂版での最も大きなポイントは、降圧目標がより厳しくなった点です。75歳未満の成人は、診察室血圧で130/80mmHg未満を目指すことになりました。家庭血圧はさらに5mmHg低い125/75mmHg未満が目標です。(図1)
家庭血圧がこの目標を越える日が多いようであれば、まずは食生活や生活習慣を見直しましょう。減塩、適正体重の維持、節酒、定期的な有酸素運動、禁煙が大切です。

図1 降圧目標
生活習慣の見直しについて
減塩 食塩摂取量1日6g未満
肥満の改善 体格指数(BMI) 25.0kg/m2未満
節酒 アルコール量で男性20~30mL/日以下(おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本)、女性10~20mL/日以下
運動 毎日30分以上または週180分以上の有酸素運動
食事 野菜や果物*、多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取 (*糖尿病や腎機能障害がある場合は主治医に相談が必要)
禁煙 喫煙のほか受動喫煙も避ける

(大関敦子)

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