健康コラム
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CT検査とMRI検査の違いってなに??
「肺はMRIじゃダメなの?」、「CTとMRIでは、どちらが良いの?」という声をよく聞きます。
CTもMRIも、どちらも大きな筒の中に寝た状態で入る検査であり、装置の見た目が似ており、違いがわからない方も多いかと思います。
最近では人間ドックや健診にCTやMRIの検査がオプションでついているものが多く、当院でもCT・MRI検査をご選択頂くことが可能です。
画像検査には多くの方になじみが深いレントゲン検査がありますが、その他にも、超音波検査、CT、MRI、核医学検査などがあり、それぞれ特性が異なります。この記事の中ではCTとMRIに焦点をあてて、それぞれの特徴を説明していきます。
CTとMRIでは、どちらが良いの?
CT、MRI、それぞれに得意・不得意があるため、どちらの検査が優れているということはありません。
どちらの検査が最適なのかは、臓器や構造物の特性、検査部位や症状・病状・既往によって適応が変わってきます。
CTとは・・・
CTとは、(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)の略で、X線を利用して体内の状態を断面像として描写する検査です。
体の断面を撮影した複数の写真をコンピュータ処理して、希望の部位の画像を出力したものがCT検査です。
X線管が、X線を出しながら体を一周し、それを検出器で読み取り、人体を輪切りにしたような断面画像や、立体的な画像を得ることができます。そのため、1枚のレントゲン写真より情報量が多く、詳細な診断ができます。
大雑把に言えば、 CTは「体内の固さ」を画像化する装置 です。 X線は柔らかなものは通り抜けますが、堅いものほど通り抜けにくいので、 CT装置は、体に多方向からX線を当てて、 通り抜けたX線の量を測定することで、 「体の どこに固いものがあるか、 どこが柔らかいものがあるのか」を計算し、 画像化しています。
MRIとは・・・
それに対して、MRIとは、(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)の略で、強い磁石と電波を利用して体内の状態を断面像として描写する検査です。体の細胞に含まれる水素原子を、磁力と電波によって影響を与えて画像化します。
成人の体重の 60~70%は水分といわれており、 水素原子は体のどこにでもあり、 データが取りやすいことを利用しています。
MRIでは 、体内のどこに水素原子があるか、水素原子がどのような状態にあるのかに基づき、水素原子が出す信号の強弱に応じて濃淡の差を つけて体内を描出しています。
それぞれの特徴を表にまとめました。
CT | MRI | |
---|---|---|
原理 | 放射線(X線)を利用 | 磁場と電波を利用 |
時間 |
検査時間が比較的短い (約10分程度) |
検査時間が比較的長い (20分~1時間程度) |
長所 |
・空間分解能に優れる (細かなものまで見える) ・広範囲を短時間で撮影できる ・騒音、閉塞感が少ない ・骨、肺の内部構造の描出が良好 ・体内に金属が入っていても撮影できる (ただし、ペースメーカ・ICDは機種によって撮影できません。) |
・組織分解能に優れる (組織や病変とのコントラストが明瞭) ・放射線による被ばくがない ・軟部組織構造の描出に優れている(筋、靱帯、半月板など) ・骨によるアーチファクトが少ない ・造影剤を使用せずに血管の走行を描出できる |
短所 |
・放射線による被ばくがある ・MRIに比べて軟部組織の変化がわかりにくい ・骨に囲まれている部位はアーチファクト(画像の乱れ)が出やすい |
・装置が狭い (閉所恐怖症の方の中には耐えられない人もいる) ・騒音が発生する ・動きに弱い ・骨などの石灰化病変の精査がしづらいことがある ・磁気に反応する金属が体内にある場合、検査できないことがある |
CTとMRI をどう使い分けているの?
CTとMRI MRIの長所は「組織分解能」が高いことです。骨の影響を受けにくく、病変と正常組織の差がわかりやすく描出され、造影剤を用いなくても血管を写すことができます。
一方、CTは骨による影響を受けますが、広範囲の検査を短時間で行え、1mm以下の微小な病変も描出することが可能です。
空間分解能が非常に高いため、広い範囲を短時間で撮影でき、緊急時の検査・スクリーニングに適しています。
細かく小さな病変も検出でき、なおかつ、短時間の撮影で検査が終了するため、装置1台あたりの検査件数もMRIより多く、MRIよりも検査の予約が取りやすいこともあって、CT検査は画像診断の重要な位置を占めています。
CTとMRIにはそれぞれに得意なところと不得意なところがあり、各検査を使い分け、時には他の検査と複合的に組み合わせ、補完し合うことにより診断やスクリーニングを行っています。
実際に臓器ごとで見ても、肺や気管などは空気を多く含むため、MRIでの評価は困難であり、呼吸器領域ではCTでの評価が中心となります。
また、整形外科領域では粗大な骨折はCTでも検出可能ですが、靱帯や半月板・椎間板や軟骨・筋肉の炎症や損傷、骨挫傷や不全骨折などはMRIでなければ描出できない事が多く、スポーツ外傷や加齢に伴う慢性疾患ではMRIでの評価が主体となります。
子宮・卵巣や前立腺・精巣などの生殖器領域もCTでの評価が難しく、こちらもMRIが中心となります。
MRIの得意分野
- 早期脳梗塞
- スポーツ外傷・加齢に伴う慢性疾患
- 脳動脈瘤
- 軟骨
- 靭帯・半月版
- 神経
- 骨腫瘍病変
- 子宮・卵巣
- 前立腺・膀胱
CTの得意分野
- 脳・頭蓋内の出血
- 肺癌や肺炎
- 尿路結石
- 呼吸器(肺・気管)
- 全身の緊急検査 (短時間で撮影できる)
- 腸炎や腸閉塞など
複数の検査を受けていただく理由
健康診断でも、病院の外来受診の際の検査でも、複数の検査をお願いすることが少なくありません。
時々患者さんから、「MRI検査をしたのに、CT検査も受けないといけないのですか?」という相談を受けることがあります。
どの検査も単独で評価するには限界があり、病気ごと・臓器ごとに行うべき検査が異なるため、MRIだけでは得られない情報も、CT検査だけでは得られない情報も数多く存在します。それぞれの検査を複合的に組み合わせて、情報を相互に補完し合い、総合的に病気を診断し、病気の有無のスクリーニングをしています。
検査を進めるには、患者さんのご理解と同意が必須です。
患者さんが納得されていない場合は、検査を行いません。
もし、検査目的・内容に関する質問や不安がある場合は、医師や医療スタッフに遠慮なく相談してみてください。
(放射線科 大竹優太)